微笑反応は5、6か月までは社会的微笑といわれ、これは人の顔一般に向けられるもので見慣れた養育者とそれ以外の人を識別しているわけではない。その後、限られた人に対しては笑うが、知らない人には泣き出したり、顔つきが代わったりするようになる。これが「人見知り」といわれる行動で、スピッツは「8か月不安」と呼んだ。見慣れた人物とそうでない人物を見分ける能力の表れと考えられ、その特定の人に対し様々な愛着行動を示すようになる。愛着行動のパターンは、ボウルビーによれば、叫んだり、笑ったり、なん語、呼びかけ、母の関心を得ようとする行動等の愛着対象を自分にひきよせようとする信号行動、すがりついたり、後を追ったり、身体接触等の愛着対象に近づこうとする接近行動をきずなとして形成され、母の語りかけ、注視、抱く、あやす、遊ぶ、世話をする等行動からも構成される。以前は空腹を満たす、寒さをやわらげる等の生理的欲求を特定の人が満たしてくれるためとの考えが強かったが、現在では、子供の信号行動や接近行動に対する反応性の豊かさ、鋭さといった相互作用の質と量が重要視されるようになっている。幼児期前半はいよいよ母の身体的介護の手が離れ、子供は外へむけての探索活動が活発になり、自律と自律への道を子供が歩む時期である。身体的には、運動機能の発達がめざましく、自分の身体に起こる様々な事象にも関心が向けられるようになる。「自分でやってみよう。」という気持ちがどんどん増大してくる時期である。エリクソンは、この自律性の獲得を、この時期の発達課題としている。この頃は子供は母親が自分と同じ感情や意志をもっていると感じている。しかし、母親が一個の独立した人間で自分の意志と必ずしも一致しないことに気づきはじめると、その母親から独立して進みたい気持ちと今までのように母親と心身ともに一体化した状態に戻りたい気持ちの両方が起こり、母親の後をおいかけたり、しがみついたりまた、母親が追いかけてくれることを期待して飛び出したりといった分離不安を示す行動が再び強くなる時期がある。第一反抗期などと言われるのもこの2、3年の時期である。乳幼児期を通じて培われてきた万能感に基づいた行動が、自己を強く主張しはじめ、何にでも「いや」を連発するようになる。子供には当然の主張であるが親にとっては反抗と感じられ、対立が生じる時期である。幼稚園や保育所等家庭中心の生活からはじめて集団に入る経験をする時でもある。エリクソンは、この時期の発達課題を主導性、積極性と罪責感と表している。
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活動性の拡大は、当然単独で遊ぶより同世代の集団何人かで協力しあうことで楽しさが増大する経験もする。感情がぶつかりあい対立することも生じてくる。この葛藤状況を解決し、乗越えていくことが、社会性を育てる重要な要因である。それは、この葛藤状況を回避するために大人が手をかすことではない。しかし、現在では、「子供が傷つくのはかわいそう。」「子供を悲しませてはいけない。」という言葉のもとに大人が先回りして葛藤場面を過度に回避する方策をとりすぎるのではないだろうか。